「マスタースレイブ」〜言葉のない会話

「マスタースレイブ」
とりあえず真似からはじめよう
続いては、個々の表現から共同作業へ移行する。「マスタースレイブ」と呼ばれるゲームだ。横一列に並んだ数人(=スレイヴ)が、向かいあう1人(=マスター)の動きをまねるというもの。マスターはGHPを被っている。上手に真似が出来ると、その箱をかぶる権利が回ってくる。GHPをかぶる為には、マスターにアピールしコミュニケーションをはからねばならない。テンポの中で一連の動作をするルールは健在で、そこにゲーム的要素を盛り込んだステージだ。先ほどは羞恥心の解放を促すアイテムだったGHPは、舞台装置として、さらにメッセージを伝達する装置として機能することになる。ある一定のテンポから序々に速度をあげていくとカラダの動きがリズムに変換されていく。そしてルールである「物まね」は「追いかけっこ」になる。GHPを被ったり、被らされたり被せたりを遊びの要素の中で繰り返す。参加者はアピールする為に、独自の身体言語を創造しなければならない。形のない新たに生み出される言語で会話を試みないかぎり、永遠にGHPを被ることはできないのだ。

「マスタースレイブ」
他者との言葉のない会話

「マスタースレイブ」
瞬時に生み出されるいろいろなポーズ
「アクションセンテンス」〜盲目の聴覚
そして1日目最後のステージ「アクションセンテンス」へ。見えない言語の応用編として、参加者1人に一行の文章を表現してもらう。「左手で人を殺すこともある。右手に棒を持ち、立つ。」「健康優良児の両手。イチニのサン、ハイ!」など。10分間が考察の時間として与えられ、その間でパフォーマンスの構築を試みる。一行の文章からイメージを広げるテクニック、そして簡略化した動きにセンテンスの意志の具現が求められた。グラインダーマンのパフォーマンスは「ストーリーを必要とする演劇」でも「高い身体能力を必要とするダンス」でもない。GHPを使用する者、言葉を使用する者、プロジェクターを使用する者、思い思いの表現を試みた。それぞれの経験を背景にした動きが新鮮に映る。

「アクションセンテンス」
一人でステージに立つ緊張感
グラインダーマンの精神がじんわりと滲んで来たのを感じた初日。実際にギアを装着して出来ること。動作制限・重さ、それら全ては足枷ではない。実感するもの、ただのリアリティーである。グラインダーマン的精神はリアリティーと言う名のルールの抑圧の中から生まれているのだ。
つづく

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